青春は短い、恋をしよう。
ヤバい。どうしよう、記事のタイトルがなんか恥ずかしい。
そんなことより。ああー、恋がしたい。
あれ、今もしかして恥ずかしい事漏らしちゃってた?
うーん、
恋愛がしたい。
あれ?また?
なんでだろう?
なんでだろうなー....。
なんでだろうなー。
......ハイ、すみませんでした。
今回は森見登美彦 作 『夜は短し歩けよ乙女』 の本ビューどす。
■ 本筋は王道な恋愛物語。しかし少し妙だ......
物語の舞台は京都、四条木屋町界隈。
ふとした時に見かけた学校の後輩"黒髪の乙女"に心を奪われた"先輩"。
「なんとかお近づきになりたい」と、恋愛にとても不器用な先輩は、時にはギリギリアウトなストーカー紛いな事をしつつ、アレコレと黒髪の乙女との出会いを画策します。
ここらだけ見ればまぁ王道の恋愛物語です。冒頭と裏表紙にも書いてます。
しかし、だんだん読み進めて行くと......。
偽電気ブラン
自称"天狗"の着物の青年
酒癖の悪い美女
大学文化系サークル『詭弁論部』
パンツ総番長
ゲリラ演劇『偏屈王』
金貸しの李白じいさん
春画蒐集家たち
古本の神様
なんとまぁ、一筋縄ではいかない登場人物と怪しいワードが次々に出てくるわけで。
語り手二人と、その周囲の人間(そうでないのも)とのドタバタと相まって妙な面白さが引き出されています。
なんかねー。割と普通に天狗とか神様とか出てくるんだけど。人間の方もまぁまぁ奇妙なんで、それらとうまく溶け込んでる?そんな感じ。
この世には普通の人間、普通の妖怪、普通の神様がいて、それらが皆普通に同居しててそれが当たり前である事の様に描かれており、思わずその事に納得してしまう。
■ 変則的なテンポで綴られる青春。だがそれがいい。
本書のタイトル『夜は短し歩けよ乙女』。これは、
「ゴンドラの唄」の冒頭 "いのち短し 恋せよ乙女" からの改変だとか。
本書の場合、常に恋をしているのは男である先輩の方なんだけどね...。
物語は 『先輩』と『黒髪の乙女』、 この二人のそれぞれの一人称視点で進み、
四部構成で春から冬にかけて、夜の飲食街、古本市、学園祭、年末の京都と、一年を一通り巡ります。
冒頭の"先輩"視点。"黒髪の乙女"がいかに素晴らしいかをこれから語っていくよ。っていう内容から始まり、その次の「おともだちパンチ」の解説の話に続きます。
っが、ここまでの文と他の文中にも、出てくる出てくる四文字熟語。
威風堂々、読者諸賢、熟読玩味、偕老同穴、杏仁豆腐.......。っと
そして、文章自体もかなりなんというかクセのある言い回しが多く、
なんだろう?一昔前の新聞記事を面白おかしく読み聞かせる感じ?ごめん例えヘタすぎた......。
このあたりの部分は合う人合わない人が出るかもしれません。
しかし、全体的に文章はそんなに難しくなく、クセのある言い回しが多いのに話自体はサクサク読める印象で、よかったです。
そして、語り手二人の"青春観"がズレまくっているのに、ちゃんと話が進み最終的には良い感じで終わります。
読み終わった後は健やかな気持ちと「ええなええなー、夢中になれる恋ってええなー。」ってなってると思います。
同作者のほかの作品にも触れたことある人なら、登場人物などでニヤリと出来る部分もあるみたいよ?
メゾン一刻とかそういうの好きな人は特にオススメです。
ほんじゃね。
[8/1000]