ハイ・ジカ

ハイジカ

タメになる事・ムダな事。僕の人生はどちらも必要な「ハイイロなジカン」

「神は死んだ」人は挫折する。力を求め、弱者を乗り越えよう。

 

皆さんは挫折を経験した事があるでしょうか?

 

っていうか、逆にない人っているんだろうか......。

 

失恋、大切な人との死別、挫折、仕事上での失敗、人生の落ち目......。

 

自分の理想が崩れて、あるいは、何かしらの不幸に見舞われ、

 

以前と同じ様に物事が進まず、鬱屈して何もかもに嫌気がさし、仕舞にはそんな自分すらも憎んでしまう。

 

他人が妬ましい。自分はなんてダメな人間なんだ。こんな世界なんて無くなってしまえば良いのに......。

 

ある哲学者はそれを〈弱者〉と呼びました。

 

しかしそれが弱者なのだとすると、誰だってそうなり得るはず。

 

 

では一体弱者はどうしたらいいのか?

 

 

『ニーチェはこう考えた』 石川輝吉 著

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今回はそういう話。

 

ニーチェの導き出した哲学を、全編を通して分かりやすく解説。この世に生を持つ事についての、ニーチェの解答がここにあります。

ぶっちゃけ、ヘタな啓発書読むよりよっぽど良いです、この本。

  

■ ニーチェはド真面目な弱者系男子だった。

ニーチェの哲学の中には、ナチスドイツのユダヤ人迫害の思想に影響を与えるほど、ちょっと過激なアフォリズム(名言・箴言・警句)がありました。

 

「神は死んだ」

 

はそれを代表するあまりにも有名な文言です。うん、過激だ。

 

しかし、そんな彼ニーチェは、プロテスタント系の牧師の家に生まれ、子供の時からまじめを絵に描いた様な"神童"であったみたいです。

 

古典文献学を専攻し、若くして大学教授になる程、彼は勉強ができました。

 

ショーペンハウアーの哲学と、ワーグナーの音楽に傾倒。"本物"の芸術や哲学だと崇拝していました。

それらを讃える『悲劇の誕生』なんていう本も書いちゃったり。

 

しかしある時、その自分の理想がいとも脆く崩れさってしまう事に......。

 

彼は挫折し、絶望を味わいます。

 

もともと体が強くなかったニーチェ。その後、失恋したり、ウジウジしたり、病と闘ったりしながら各地を転々とします。

 

実は彼の哲学で言う〈弱者〉とは、この時の彼の事だったんですね。

 

■ 弱者とは何か

ニーチェの哲学では、

 

〈弱者 〉とは 自分にとっての当たり前、理想がもはや崩れさり、精神的にこの世界そのものを、虚無としてとらえている状態の事を言う。

 

っと本書にあります。うーむ。

 

ニーチェの崇拝していた、ショーペンハウアーの哲学は悲観主義。「生は苦悩である」というもの。

 

実は、ニーチェが〈弱者〉となっていた頃の哲学は厭世主義、悲観主義、理想主義とか、「どうせこの世界は変わらない」「どうせこの世界はうまくいかない」「本当はもっと良い世界がある」

 

など、世界そのものに視点を向けたモノがほとんどでした。

 

まさにこれらの思想を受け、ニーチェ自身が後々強く批判する事になる〈ルサンチマン〉による〈ニヒリズム〉に、ニーチェ自信が陥っていたんです。

 

以下簡単に。

 

〈ルサンチマン〉

不幸や挫折による、他人に対する嫉妬や憎しみを抱いている状態。自分や世界に悲観的。

自分と他人を比較してネチネチ、クヨクヨ。「リア充死ね」状態。

 

〈ニヒリズム〉

ルサンチマンがさらに侵攻。世界(人生)への失望と虚無。

「所詮全ては無意味。死にたい。こんな世界なんかなくなってしまえばいい。」 

 

じゃあ、自分という存在はなんのために、生まれてきたんでしょうか?

 

ニーチェの哲学の方向性は、自分自信に向かいます。

 

■ 弱者を乗り越える〈力への意志〉

 さて質問です。

 

「今の自分の人生がこの先何回も繰り返されたとします。

その同じ人生をこの先何回でも経験しなければならないとして、果たしてアナタはそれを望みますか?」

 

ニーチェはこれを〈永遠回帰〉 と言います。

 

もちろん、この世界がそうなっているのかどうかは、正直わかりません。死んだらそれで終わりかもしれませんし、そうではないかもしれません。僕の知ってる限り......。

 

しかし、もしそうだとしたら、人生をどう受け止めたらいいのでしょうか?

 

ニーチェはこう言います。「自分と世界に"イエス"と言いたまえ。」

 

つまり、人生そのものを肯定する事

 

そのために〈力への意志〉と〈よろこび〉が重要だといいます。

 

〈力への意志〉と〈よろこび〉

〈超人〉を目指す事。成長(大きくなろうとする努力)する事を喜ぶ。その〈よろこび〉と共に人生を歩む事。

 

〈力への意志〉"「生きている間に、出来る限り最も良い所へ昇りつめようとする努力」wikipedia抜粋 "

 

 

「努力すれば何とかなる。」

しかしこれは、よくある「体育会系」の発想ではありません。つまり、根性論とは違います。

 

例えば、小さい頃、人は誰しも自転車を乗るために、練習を積み重ねたはずです。

そして、やがて自転車を無事に乗りこなし。達成感を味わったと思います。

 

過去の小さな成功は自分の誇りになります。

 

「誰かに貢献したわけではないし、誰でも出来るとても簡単な事だけど、わずかだが自分は成長できた。うれしい。」

 

”そう思える事を達成できた”自分の人生には意味がある。そう思いませんか?

 

しかし、一方で今自転車を乗りこなせるのは、もはや当たり前となっています。

 

ある時、不慮の事故で自転車に乗れない様になってしまったらどうでしょう?

 

これは挫折となってしまいます。

 

だから、自分の成長に目を向ける。そして成長し続ける自分に目を向ける。

 

これが肝心だとニーチェは言います。

 

時にはどんなに努力しても、乗り越えれないこともあるかもしれません。

 

あまりにも有名なお笑い芸人、明石家さんま氏も「生きてるだけで丸儲け」と言ってます。

 

場合によっては逃げる事も大切です。自分の生そのものを"イエス"とするならば、死んでしまうよりも、逃げて生き延びましょう。生き永らえて、別のところで成長し、また再チャレンジすればいいじゃありませんか。

 

■ 過激な発言とかで色々損をしてるけど

 

〈ルサンチマン〉を引用する際に、キリスト教の源流となったユダヤ教の、ユダヤ人を引き合いに出し、彼らを〈弱者〉の例に出すという、過激な事をしたり。

ナチスに思想を取り入れられて、世界から顰蹙をかったり。

晩年は病気による衰弱などで、発狂して生涯を終えたり。

 

と色々とアクの強いニーチェですが、彼の人生に対する真摯な取り組みは、今の僕たちにも十分に伝わってきます。

ニーチェに関する本は2.3冊読みましたが、この本が一番読みやすい印象です。

他にも、ニーチェがキリスト教批判に至った経緯など、詳しく書かれてます。

 

あっ。ちなみに、全然関係ないのですが。バイト先にまでこの本を持って行って、読んでいた当時の僕の名前には「ニチェ」が付きました。

 

 

 

誰がオオニチェやっ!!

 

 

ホンジャネー

 

 

[14/1000]

 

オオニシ壮ト@MassOnishi