ハイ・ジカ

ハイジカ

タメになる事・ムダな事。僕の人生はどちらも必要な「ハイイロなジカン」

地球と戦う時は、二つのモノがあれば全然大丈夫という話

 

 質問です。

 

 

ケンカしているAとBがいたとします。

 

Aはキテレツみたいなヤツ。殴り合いは弱そうですが、怪しげな道具を使います。若干フワフワ浮いてます。

Bはジャイアンみたいなヤツ。肉弾戦が得意です、というかAの4倍の体格があり圧倒的に殴り合いは有利です。

 

どちらかに加担しなければならないとすれば、どちらにしますか?

 

 

......ありがとうございます。

 

それでは、それをそのままAを月、Bを地球に置き換えてみましょう。

 

するとあら不思議。

 

『月は無慈悲な夜の女王』

ロバート・A・ハインライン:著

 

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の出来上がりです。

 

■ 月と地球。勝つのはどっちだ? 

 

時は2075年人類の活動は宇宙に進出していました。地球の衛星である月は、流刑民の地として取り扱われ、地球の囚人などが送り込まれる環境でした。

 

物語の現在では主人公も含め、当時送り込まれた囚人達の第3世代位の人々ばかりなので、すでに月世界に慣れ、地球に対する特別な確執と言ったものはありません。

 

しかし、月世界は地球政府から不当な要求を受け、資源などを搾取されています。月世界は地球連邦直轄の" 行政府 "により統治され、輸出物にも重い関税が掛けられています。

 

本作の主人公であるマニー(本名:マヌエル・ガルシア・オケリー・デイビス)は、左腕が義手の電子技術士です。彼には" マイク "というディンカム・シンカム(本物の思索家)と呼ばれる、いたずら好きの超高性能AIの相棒がいます。

 

ある日行政府に反対する集会に立ち会うマニー。集会自体は途中行政府の襲撃に会いますが、そこで出会ったワイオという女性と、デ・ラ・パス教授という老人と共に月世界独立のための組織を結成します。マイクと協力しての裏工作や水面下での独立計画を進めます。

 

マニー達はある事件を発端に行政府に対してクーデターを発起。制圧に成功します。

そして2076年7月4日、月世界の独立宣言を行います。

 

その後、地球連邦に外交のため渡航し、不当な資源輸出の撤廃などを求めたりするのですが、意見は並行線を辿り交渉は決裂。やがて地球連邦との全面戦争へ......。

 

っというのが、この作品の主な流れです。うーむ、ざっくりでわかりやすい。

 

大まかな流れはそういう感じなんですが、他にも月世界には法律が存在しません。

月世界では女性の絶対数が極端に少なく、その女性の倫理が尊重され、社会が形成されているからです。

女性が少ないので一妻多夫は当たり前。家族ぐるみで重婚してる家系型結婚なんかの概念が存在します。

それは、月世界の住民が健康的で平均寿命が長いという事にも起因するのですが、反面地球の重力の" 強い "環境はとても生きづらい様です。

 

この他にも、「タンスターフル 」(「無料の昼食はない」という言葉の頭文字 )という言葉がたびたび出てきて、これが"ノーフリーランチ定理"という実在する定理の名前の由来になってたり、

 

超高性能AIのマイクはユーモアが好きで、マニーとの掛け合いが面白く、しかし一方で、そんなマイクの人間的な面の成長が描いているところなんかは、興味深くもある反面、主人公も感じる末恐ろしさの様な感覚を覚えます。そんな事とか、

 

色々と面白い要素が詰まった作品です。

 

とりあえずまぁ、そうこうする内に最終的には地球との全面戦争となるワケですが、 戦力という面では圧倒的な開きがあります。

 

果たして、月側に勝算はあるのでしょうか?

 

 ■ 地球攻略のカギはこれだ。

 

実は、月世界には地球連邦軍と戦うタメの戦闘用の戦艦が一隻もありません。

 

っていうか戦闘のための兵隊すら一人もいません。どうすんだこれ?

 

そこで月世界政府は、打倒地球のためにある戦法をとります。

 

 

それは、

 

巨大な岩を切り出し、それを大型の射出カタパルトに乗せて発射。地球に向かってブン投げる

 

というモノです。

 

 

マジでー!?そんなんでいいのー??

 

 

もっとなんていうかこうー、ハイテクなすごいビームとかさ。ロボットとかさ。そういうのが出てきてさ。相手の戦艦とドッグファイトよろしく。白熱の宇宙戦を繰り広げると思ったらそうじゃないんかい!?。

 

しかし、実際にはこういう事らしいです。

 

月から投擲された岩は地球自身の重力によって何倍にも加速する。地球に衝突する際には超高速に達しており、その衝撃は一発あたり水素爆弾数発分に匹敵する。

目標の計算と発射コントロールは超高性能AIのマイクが担当。向こうからの侵略に対しては地元の人たちでなんとかする。っという戦法。

 

なるほど、人口の隕石をつくるワケですね。

 

なので、もしも皆さんが人生でうっかり地球を敵に回す様なコトがあった場合は、

 

"超高性能な弾道計算機"と"相手に向かって働いてるすごい力のある環境"。

 

このたったの二つのモノさえあれば地球と互角以上に渡り合えます。

 

 いやー。思ってたより随分簡単で良かった良かった。

 

 

えーと、何がだ??

 

 

まぁ、とりあえず。

どんな状況でも今の自分の置かれた環境を吟味して、賢く立ち回ればアレだ、ホラえーっと。なんとかなる。そういうことじゃないでしょうか?

 

 作品自体はね名作です。オモシロいよ。人工知能のマイクがちょっとずつ成長していくところなんかは個人的にはニヤニヤが止まらん。

 民主主義政府が出来る過程とか見てても面白いし。

 

 

 ほんじゃね。

 

 

 

 

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